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PARIS:パリの着物

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数日前、友人との電話の中で『パリにはどんな着物を持って行ったのー?』と聞かれました。単衣の黄色のヤツーとか言ってもよくわからんとおもうので、ちょっとまとめて掲載してみますー。
こんなかんじでした。



んー。どでしょ。
垂れ物で2枚、紬が1枚。襦袢は3枚です。それぞれ昼夜合わせて3回くらいずつ着たかなぁ。
持って行った着物は、1枚は付け下げなのですが、柄が大きく繋がったような重い付け下げ柄ではなく、ほとんど飛び小紋状態なので、小紋として扱っている着物です(笑)
夜のレストランのことを考えて、紬ではなく垂れ物中心、間接照明中心のレストランの事を考えて、なるべく華やかになるように明るい色を中心に。昼間の散歩や2日目の和食『仁』の時用に紬を1枚。
帯は2本でもよかったのですが、紬に当てた花織がまったく嵩張らないタイプだったのでまぁいいや的にグイっと荷物に入れてみました。
足袋は着る予定の回数分に2枚予備を足して、草履は万が一壊れるとフォローが効かないので2足。
こうして書くとすごく大荷物にも見えるかもしれないのですが、梱包してみれば完全にペッタンコになってくれるので荷造りはチョー楽なのです。ドレスやスーツを沢山詰める事を思えば、ほとんど型くずれとか気にしなくてもいいし圧縮袋でペッッッッタンコに圧縮できるし。いや、ペッタンコになるのってかなり重要よ?うん。


実は、オオノなりにTPOとやらを一生懸命考えました。

TPOって何だろう。

着物で一番メンドクサイのは『格』という名のTPO。アレとコレは合わない、とかコレにアレは格を下げる、とか、ほんとに難しいしメンドクサイ。メンドクサイといって無視すると『あれ、コレ着て来ちゃったけれど、だだだ、大丈夫だったかなぁ』とか不安になっちゃうんですよねぇぇぇぇ…。
「着物の格」だの「模様の格式」だの「帯の格と着物の格の組み合わせ」だの、そういうことはオオノほとんど分かりません。むしろメンドクサイので調べようともしないのですがぁ(笑)

でも、よく考えてみたら…TPOってそういう格合わせのことじゃないヨネ?って思うんですよ。
TOPって『思いやり』なんじゃないかなぁとおもうんです。
その場所に居合わす他の方への『思いやり』かなぁ、と。
その場の方々がテンション下がるような嫌な思いをしないようにするための思いやり、かなぁ、と思うのです。

今回の旅行は、目的がハッキリしていて『三ツ星及び二ツ星レストランで夜食事+高級ホテルに滞在』というものでした。
ぶっちゃけ、その場所はフランスの本物のマジセレブな方々が集っておられます。本物のお金持ちな方々が大切なお相手と楽しい特別な時間を過ごしにいらっしゃってるんですね。
まぁ、ね、そんな中にね、がんばって旅行で来ています無理してますってな日本人がですね、普段着ないようなスーツだのドレスだの着ていってもですね。正直ああいった方々から見たら単なるコスプレなんじゃないかと。
思いません?スーツだのドレスだの、ヨーロッパの方々が着ているのってメッチャかっこよくないですか?カッコイイですよね、オバサンでもオバァチャンでも、めっちゃチャーミングだし、おっさんもお洒落でチョーカッコイイ。やっぱスーツはガイジンさん(←すごい表現ですが)のための服だと思うんですよ奥さんっっっ!
……ね、まぁね…オオノみたいなお肌にもカラダにも全く気を使っていないオバサンがですね、ステキブランドスーツを新調して持って行ってもですね、みっともないだけなんスよ多分。ね。…うん、絶対ね、あー慣れないのにがんばっちゃってるなぁって無理無理感がね、その背伸びがみっともないだろうなっていう。うん(確信)。

ま、そこらへんのオオノの女子力の低さ(笑)は置いといて、そう、皆さん特別な時間を過ごしにやってくる、もちろんオオノもだよ。だから、素敵な時間を過ごせるように服を選ぶのなら、オオノは一番日本人らしくちゃんと似合う『着物』を着よう、と。
着物の格とかよりも、レストランで地味に暗く見えないように、外人さんの目にも綺麗に映るだろう明るめの色を選んで、せめて華を添えようかな、と。そこらへんがTOPかなぁ、なんて。
そんなわけで、着物を選んで詰めて行ったのです。

それからあと一つ、予想していた事があって……

フランスだったら着物の良さって分かってもらえるんじゃないかな、と。
(『わーKIMONOだニホンジンだー!』って珍しがられるのではなく、スーツやドレスト同じ『服』として自然に受け入れてもらえるという意味ね)

フランスを中心としたヨーロッパ圏は、その昔、ジャポネズリー・ジャポニズムといって18世紀の終盤、いやもっと前から日本美術が西洋美術に非常に大きな影響を与えているんですね、それは単なる流行ではなく、その後も長い間影響を与え続け、また日本も影響を与えられ続けていました。
そんな背景があるから、ヨーロッパの方は日本独特の着物の色や模様、素材、それから『渋さ』とか『粋』とかを理解してくれているような気がするんです。

この事は、もう何年も前から思っていました。
FashionDollをカスタムして海外のオークションに出して遊んでいる時に感じました、アメリカの方々は鮮やかでハッキリしていて、ともすれば子供っぽさも感じるくらいの明るい派手さを好むけれど、ヨーロッパの方々はシックなのを好む。日本人の色やモノの感じ方はアメリカよりもヨーロッパの方がかなり近いんじゃないかな、と感じました。(光の量や質の関係で実際に見えている色もそれぞれ若干異なるんだろうな、とも思います。)
随分前、英語が非常に堪能な友達と『粋』って英語でなんて表現すんだろうねぇなんて話していて、CHICじゃね?となりました。そうだそうだ、CHICがあるわ、昔から文化の交流のあるフランス人イギリス人ならCHIC理解できるわ、と。

だから……ホントにCHIC分かってもらえるかしら、という不安半分、きっと分かってもらえるハズ、という確信半分。着物を持って行こうと決めたのは、それを確かめたかったのもあります。(ま、ちょっと大げさですけどね)

さて、実際どうだったかと言いますと…。珍しがられたりジロジロ見られたり何あれヘンなのーとかそういうことは全くありませんでした。よかった、マジよかった。
ただ意外な事に、主にレストランで『よくやった』と褒められました(笑)
『日本人が来店することはあるけれど、着物を着てくる人は居ない。せっかくだから(着物という文化があるのだから)みんなもぜひ着物を着て来てほしいと思ってるんだ』とか『自分は日本人は着物が一番イイ(似合う)と思ってるんだ』とか。

なんだー、ねー、ですよねー、分かってもらえてんじゃん、ね、やっぱ日本人は着物が一番似合うよね、でしょー?、なんて、ちょっと分かってもらえたようで、ちょっと(かなり?)嬉しかったのです。

そんなわけで、スーツケースに余裕のある奥様、ヨーロッパでもしドレスコードとかで困っちゃったらぜひ着物着てくださいよ。日本の素敵な着物だもの、自信もって着てほしいなと思います。


あ、そだ。他の国から来ている通りすがりの観光客(多分北米の方)に『オー!ジャパニーズ・トラディショナル・キモノ!』とか珍しがられた事あった、 っつか紬を見て『traditional』という単語が付いた事に驚いたっすよ。……何と区別してんだろうな…(笑)



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